空き家問題と最適化

2019年04月28日

 4月26日に総務省が発表した「住宅・土地統計調査」によると、昨年10月時点の全国の住宅総数に占める空き家の割合は13.6%で過去最高になりました。大分県は全国11番目の空き家率で16.7%でした。九州では鹿児島県の18.9%についで高い割合になっています。

 空き家が増える原因は、人口減少で住宅需要は伸びていないのに大量(18年度の住宅着工件数は約95万戸)の住宅建設が行われているからだとされています。国は昨年4月から「安心R住宅」制度を設けて、耐震性や構造上の不具合がない既存(中古)住宅にお墨付きを与えて、既存住宅の流通を促す政策を始めたばかりです。

 我が国の住宅寿命は欧米と比べて極端に短いと言われています。欧米が60~70年に対して我が国では20年と言われています。我が国の20年は物理的な寿命ではなく、税法の木造住宅の減価償却期間の22年が想定されているのではないかと思います。実際の木造家屋の寿命は日本でも50~60年あるという研究成果があります。

 不動産業に携わっていて思うのは、古い住宅は断熱性、間取り、水回り設備などの機能性やデザイン性などの面で新しい住宅に比べて魅力がないと思われます。空き家の増加は人口減少による量的側面もあるのでしょうが、ロケーションもふくめ需要者のニーズにマッチしていない側面の影響のほうが大きいのではないかと思います。最近は庭つき戸建ではなく駐車場2台つき戸建が求められています。アパート代金で戸建100㎡に住むというのも最近の動向です。空き家問題の核心は住宅の「最適化」の問題ではないかと私は考えています。

春の風景