地籍調査について

2019年05月31日

「地籍」という言葉をご存知でしょうか?土地取引の基本である土地の所有者や位置や境界や面積などのことです。土地の面積を記載した図面を「地積測量図」といいますが、すべての土地について地積測量図がある訳ではありません。土地に関して利害のある関係者が境界について同意した場合に初めて作成、登記されます。

 我が国の地籍調査は大化の改新(645年)に遡ります。徴税は国家運営の基盤だからです。その後は、太閤検地(1582~1598年)まで大規模な地籍調査はなく、江戸時代は太閤検地が引き継がれました。また、1643年に「永代土地売買禁止令」が出され、明治に入った1872年に廃止されるまで続きました。なお、この間の「土地」には山林が入っていませんでした。1873~1881年に明治政府による地租改正が行われ、地価査定が行われました。この時に作られた「絵」が「公図」として、現在も土地の位置関係を示す図面として土地取引の現場で「参考」にされています。山林では「縄伸び」といって実際の面積が登記面積よりも大きい場合が7割近くに達しているようです。

 戦後になり1951年から国土調査法に基づいて地籍調査が開始されましたが、70年経った現在、まだ半分しか終わっていません。完成まであと100年かかるといわれています。登記所の地図の4割は明治時代の「公図」のままです。

 地籍調査は市町村が実施しています。所有者に費用の負担はありません。境界確認に立ち会い、所有者、地番、地目、境界、面積が地籍簿と地籍図にまとめられます。調査開始から完成まで3年はかかるようです。

境界