価格査定(建物)について

2019年08月30日

  宅建業者が、不動産の売買を仲介するときに成約見込み価格を示す場合は、その根拠を明らかにすることが求められています。(宅建業法第34条の2)価格査定といいます。「不動産の鑑定評価に関する法律」に基づき不動産鑑定士だけが行える「不動産鑑定評価」とは異なります。

 市場において売買が成立するであろう価格を求める点では同じですが、「不動産鑑定評価」は法律に基づいて決められた手順に従わなければなりませんが、「価格査定」には決められた手順がありません。市場動向や仲介業者の顧客ネットワーク力などが加味され、「今、売れる金額」や「この相手なら売れる金額」など個別の要素が加味された評価金額になります。 

 弊社が既存建物の価格査定を行う場合は、国税庁が定めた「中古建物の取得価額の計算方式」に基づいて行っています。建物の「構造」(木造、鉄骨、鉄筋コンクリートなど)、「建築年」ごとに㎡あたりの建築価額が定められています。例えば、平成6年に建築された木造住宅の建築価額は156.6千円/㎡となっています。この金額に建物の延べ床面積を掛ければ、建物の取得価額が計算できます。仮に、100㎡とすると15,660,000円となります。

 この取得金額から売却時点までの建物の減価償却額(建物は新築した時から時間が経つにつれて老朽化してゆくので、その分だけ評価額を減らしてゆきます。)を引いた金額が、売買する建物の評価額になります。減価償却額の基準も国税庁が定めています。事例の建物を令和元年8月に売却したとすると、減価償却額は16,208,100円になります。取得価額の15,660,000円より大きくなります。建物評価額はマイナスになってしまうので評価額は0円とします。これは、税法上、木造建物の耐用年数が22年となっていることから生じています。どんなにお金をかけた建築物も税法上はその構造、売却までの築年数により一律に評価されます。

 

住宅解体