地番と住居表示

2020年12月31日

 法務省(法務局)が管轄する登記簿(不動産登記事項要約書や登記事項証明書)の記載に「地番」はありますが、「住居表示」はありません。市役所で固定資産税関係の証明書を請求するときは、「地番」を書かなくてはなりませんが、一般の人は「住居表示」しか知りません。地番と住居表示は何が違うのでしょうか?

 明治時代に政府が全国の土地測量を行った際に、一筆(筆は登記法で一個の土地を数える単位)ごとに番号をつけました。その番号が「地番」です。登記されてない土地にはそもそも地番はありません。また、当時、市町村制を実施した際に、従来の「村」を「大字」とし、村の中の区を「小字(字)」の名前で残し、○○市大字××字△△▲▲番地と表示しました。その後、市街化の進展に伴って道路との境や分筆・合筆も行われて地番の並びが不規則になりました。また、そもそも土地につけた番号だったので住居表示との関連性がなく訪問や郵便配達等で不便が生じてきました。

 そこで、昭和37年(1965年)に「住居表示に関する法律」が制定され、市町村が住居(建物)表示として、町名、街区、住居番号を定めることになりました。○○市××町△丁目▲番〇号と表示しました。従って、まったく建物(住居)のない土地に「住居表示」はありません。

 このように、「地番」は登記所(登記官)が土地の公的な表示のために定めたものであり、「住居表示」は、市町村が郵便や宅配などの「宛先」のために定めたものです。デジタル時代に必要なのは、土地(地番)と建物(住居表示)を関連付けて表示することだと思います。デジタル庁に期待します。

住居表示変更HP