ウッドショックについて

2021年06月30日

 最近、住宅業界や不動産業界では、「ウッドショック」という言葉が頻繁に聞かれます。1973年頃、中東地域が戦争状態になり日本への原油の輸入停止や価格の高騰が懸念されて「オイルショック」という言葉が世間を賑わせました。ウッドショックは、木材の輸入量減少や価格の高騰が懸念されているという意味で使われています。

 新型コロナウィルスによる世界的なパンデミックに伴う在宅勤務の増加により、米国では郊外の戸建て需要が高まり昨年夏ごろから木材価格が高騰し始めたそうです。さらに、歴史的低金利の住宅ローンが住宅の建築ラッシュを招いていることも影響しているようです。

 大分県内の原木市場の4月の平均売買価格は前年比で31%を上がりました。輸入材が入りにくくなっているため、取扱量も10%を超えて増えています。住宅メーカーやリフォーム業の営業担当者によると、木材価格の高騰により、納期の遅れや採算の悪化が懸念されており、受注の手控えや販売価格への転嫁等が検討されているそうです。他方、軽量鉄骨が主体のメーカーでは影響はほとんど出ていないようです。

 6月末になって、米国での木材価格の高騰の原因は、ヘッジファンドなど投機筋の資金が流入していたことも一因だったことが判明し、投機マネーの木材市場からの流出により5月の最高値から5割も値が下がったという報道がありました。今後の木材価格の動向については、輸入価格への国内価格への転嫁が始まるのはこれからのため、年内は高値が続くといわれています。

建築現場

木造建築現場