二重住所問題について

2022年12月31日

 二重住所という言葉をご存じでしょうか?ひとつの住所に2つの表示(表記)があることを意味しています。以前(2020年12月の本欄「地番と住居表示」)、「土地」の表示方法である「地番」と、住居すなわち「建物」の表示である「住居表示」の違いについて解説しましたが、同じ「土地」について、実は異なる表示があるのです。市役所で住民票を取得する際に「通称住所」を表示しますか?と聞かれたことがあると思いますが、「住所」には、「大字住所」と「通称住所」がある地域があります。

 別府市では、令和24年から住居表示の一本化を目指して作業を進めているという新聞報道がありました。方針としては「大字住所」から「通称住所」への変更を目指しているようです。大分市でも、住居表示の変更が行われている地域があり、旧住所と新住所の対照表が市のホームページに掲載されています。

 問題は2つあります。ひとつは、住居表示の変更が終わったら、自分で住所変更手続きをしなければならない事項がたくさんあることです。たとえば、「不動産や法人の登記」、「マイナンバーカード」、「自動車運転免許証」、「年金」、「金融機関」等です。もうひとつは、建物のない場所の「地番」はどうなるのだろうかということです。「住居表示」の変更なので、建物のない土地の表示は、従来のまま、大字表記の地番が残るのではないかということです。そうなれば、様々な事項をデジタル化してコンピュータで処理させるDX(デジタルトランスフォーメーション)化には妨げになります。今でさえ、一つの住所に二つの表記があってデジタル化の大きな障害になっていますが、この解消が進みません。

 「住居(または住所)」すなわち「住む場所」の表示の一本化ではなく、人が住んでない場所も含めた「土地」の表示の現代化(デジタル化)を進めなければならないのではないかと考えています。

 

二重住所(新聞記事)

住所変更1

住所変更2