固定資産税の免税点

2023年02月28日

 固定資産税は、毎年1月1日時点で固定資産を保有している人(固定資産課税台帳に所有者として登録されている者)に課税される地方税です。個人、法人を問いません。固定資産には、土地、家屋のほか事業のために保有している機械や構築物などの償却資産が含まれます。固定資産税の金額は、毎年5月ころ市町村から「納税通知書」によって通知されますが、課税標準の基礎となる価格(固定資産税評価額)は、3年ごとに評価替えが行われます。次は令和6年度です。固定資産税評価額は、不動産取引の目安にされる地価公示価格の70%を目途に設定されています。課税標準額(固定資産税評価額)に標準税率1.4%を掛けた額が固定資産税です。市街化区域内にある土地や家屋に対しては、都市計画税0.3%が別に課税されます。

 固定資産税はすべての土地や家屋に課税されるのかというとそうではありません。課税標準額が、土地で30万円未満、建物は20万円未満、償却資産の場合は150万円未満なら課税されません。ただし、同一市町村内に同一人の所有する不動産が複数あり、その合計の課税標準額がさきの基準を超える場合は課税されます。

 固定資産税が免税になる不動産については、市町村からの「納税通知書」に記載されていないため、所有者が死亡した場合、相続手続きの中でこの不動産が漏れてしまい、相続されないことが起こります。地目が原野や山林などの場合に特に可能性が高いと思われます。

 最近話題になっている所有者不明土地の問題は、空家の放置を防ぐことに主眼が置かれていますが、問題の根本は登記と所有が一体になっていないわが国の不動産に関する法制度にあると思います。課税標準額が免税点を超えていない原野や山林などの土地は、所有者が死亡して記録が残っていないと、誰からも忘れられて荒れ放題の荒野となってしまうことが危惧されます。

 

 

 

 

放置土地1

放置土地2