所有者不明の不動産管理制度について

2023年03月31日

 令和3年(2021年)4月に公布された改正民法で、「所有者不明土地建物管理制度」が新設されました。明日4月1日からこの制度が始まります。所有者不明の土地、建物とは、登記簿に登記されている名義人の連絡先がわからないとか、名義人が死亡しその相続人がいないとか、いてもその連絡先がわからないという土地や建物のことです。空家の増加も社会問題になっていますが、資産価値の低い地方を中心に所有者不明の土地も増えています。所有者不明の土地や建物があるために、近隣土地の開発や有効利用ができなかったり、環境や安全面で悪影響を及ぼすことが起きています。

 新制度は、所有者不明の土地や建物について利害関係を有する人が、その不動産の所在地を管轄する地方裁判所に申し立てることにより、裁判所が管理人を選任し、裁判所の許可を得れば管理人が不動産を売却できることになりました。これにより、不動産の有効活用が可能になります。利害関係人には、「不動産の利用や取得を希望する人」が想定されています。管理人には、弁護士、司法書士、土地家屋調査士等が選任されるようです。

 従来からあった「不在者財産管理制度」や「相続財産管理制度」との違いは、新制度が「特定の不動産」だけを対象として処理できるのに対して、現行の制度では、不在者や被相続人の「全財産」を対象とする点にあります。不動産取引の観点からは、「特定不動産」の処理ができることで十分です。

 ただ、利害関係人は申し立てに際して、管理費として「予納金」を支払う必要があります。予納金の金額は不明です。「不在者財産管理制度」や「相続財産管理制度」でも予納金が必要とのことで、ネットによるとその相場は20~100万円だそうです。全財産の管理ではない新制度ではもっと安いといわれています。

 

 

 

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