相続による登録免許税の免税について
2025年02月28日
相続による登録免許税の免税について
不動産の相続登記をすると、土地や建物に登録免許税(課税標準価額の0.4%)がかかりますが、土地についてこの税が免除される場合があります。相続登記の義務化に伴い、既に死亡している被相続人や相続人間の所有権移転登記を進める狙いです。①「相続により土地を取得した個人が登記を受ける前に死亡した場合」と②「不動産の価額が100万円以下の場合」です。2025年3月31日までの適用期限があります。
①の場合ですが、相続により土地を取得した個人が、その土地の所有権移転登記をする前に死亡した場合です。例えば、父親が亡くなった祖父から相続した土地の登記をしないまま死亡した場合に、父親の相続人が、祖父から父親への相続登記を申請する場合です。父親から相続人への所有権移転登記には免税措置はありません。なお、申請者は父親の相続人に限られず、父親から土地を購入していた人も申請することができます。
②の場合は、個人が土地について、所有権保存の登記または相続による所有権移転登記をする場合に、課税標準価額が100万円以下であれば登録免許税が免税になります。
我が国の登記制度が、元来、徴税目的のために作られた制度であるため、登記をするかしないかは所有者(権利者)の任意でした。不動産の売買で所有権を明確にする必要があったり、銀行から資金を借りるために抵当権を設定する必要がある場合などが登記の必要性が顕在化した場合でした。
最近は、登記がないために所有者が不明になっている土地や相続されても登記をしないために管理状態が不十分な土地が多くなり、社会問題化しています。その対策として、免税措置も活用して相続登記を進めたいということですが、権利の存在とその公示を目的に登記制度そのものを抜本的に見直す必要があるのではないかと思います。デジタル化による社会変革(DX)を進めるためには、土地や建物に関する様々な権利関係を整理し、公示すること(データベース化)が大前提になります。