デジタル住所と不動産IDについて

2025年05月31日

 日本郵便が「デジタルアドレスサービス」を5月26日から始めました。日本郵便の「ゆうID」会員約1500万人を対象に、部屋番号まで含めた住所を「7桁英数字」に変換したコードを付与し、郵便利用の際の住所記入の手間や誤記を減らそうという狙いです。コードは住所ではなく、利用者個人についているので、転居時には日本郵便に住所変更の申請が必要になります。郵便番号は引き続き残るそうです。こちらは個人ではなく、エリア(地域)に付与されていますが、デジタルアドレスで宛先を記入をしても、郵便番号を書かなくてはいけないのかどうかは不明です。

 土地や建物の所在をデジタルで表記し住所を識別する方法としては、国交省が「不動産ID」という構想を進めています。こちらは、法務省が登記情報に付与している17桁の数字を使っていますが、公営住宅などそもそも登記されてない建物には識別番号がないという制約があります。

 日本郵便も国交省も、住所データを利用して実現しようとする目的がそれぞれ異なっているため、個別にサービスや制度の構築を進めています。「人」に付与したり、「土地」や「建物」に付与したりしています。社会保障などの公共サービスを受けるには住所が大変重要です。その住所に関して、民間企業の日本郵政が独自にサービスを提供し、行政は、総務省ではなく国交省という不動産を所管する役所がDXの旗振りを行っています。土地の境界確定を行う国土調査は、半世紀以上続けられていますが、韓国や台湾では土地座標のデジタル化が既に終了したと聞いていますが、日本ではまだ半分の面積しか終わっていないと認識しています。不動産分野のDX化が遅れている日本は、公共事業としてデジタル測量を行い、土地や建物は無償でまず登記義務化を行うことが喫緊の課題ではないかと思います。土地や建物(部屋ごとに)に識別番号があれば、実用的な住居表示も可能になります。

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