マンション改正法の成立
2025年06月30日
マンション改正法の成立
分譲マンションの老朽化とマンション住民の高齢化という「二つの老い」に対応するための「マンション改正法(マンションの管理・再生の円滑化等のための改正)が、5月23日に成立しました。施行は2026年4月からです。
改正の主な内容は、「管理の円滑化」と「再生の円滑化」に分かれています。「管理の円滑化」では、新築時に分譲事業者は、適切な管理や修繕が行われるように「管理計画」を作成し、管理組合に引き継ぐという仕組みが導入されました。また、共用部の修繕に関する集会決議では、「区分所有者全員の過半数」から「出席者の過半数」に緩和されました。さらに、所在不明者を決議の分母数から除外できる制度も創設されました。「再生の円滑化」では、建て替え、取壊し・売却、大災害被災時、耐震性不足への対応などの集会決議に必要な多数決の要件を緩和しました。また、建て替えを推進するため、隣接地の所有権を建て替え後のマンションの区分所有権に変換することが可能になりました。容積率や高さ制限に対する特例の制度も設けられました。
政府の発表によると、現在、全国のマンションの2割が築40年以上です。約137万戸が、今後、10年で2倍、20年で3.4倍に増えます。5割以上のマンションで世帯主は70歳以上ということです。建物の老朽化への対応として、集会決議要件の緩和により、時間の短縮は図られるようになりましたが、住民の高齢化への対応は今後も残されています。
最大の問題は、維持管理や建て替えに対する資金をどうやって確保するかです。国交省の調査では、管理組合の37%は修繕積立金が不足しているそうです。建物というハードの対策では解決できない問題です。